コブラ 諏訪
所属ジムピューマ渡久地
生年月1980/6
出身東京都港区
戦績33戦19勝(11KO)12敗2分

 11日に後楽園ホールで開催される日本スーパーウェルター級挑戦者決定戦に出場する同級2位のコブラ諏訪(37=ピューマ渡久地)。過去2度のタイトル挑戦のチャンスを得たが、ベルトに手が届かなかった。その後、タイで4戦した諏訪は地域タイトルを獲得すると、現OPBF同級王者のラーチャシー・シットサイトーン(32=タイ)と1勝1敗と星を分けた。2階級制覇を目指す同級1位でサウスポーの新藤寛之(31=宮田)との一戦を控 えた諏訪の対策を聞いた。

コブラ諏訪「倒すしかないと思っている」

※このインタビュー記事はBOXING MOBILEから独自に許可を頂いて記載させて頂いたものです。

■前戦、約2年ぶりに日本で試合をしました。しばらくタイで試合をしていましたが、その経験はどのような面でプラスになっていますか?
諏訪敵地での戦いで洗礼を受けました。計量ではメモリのおかしい体重計に乗らされたり、最後の試合だと聞いていたのに当日にいきなり第一試合に出ることになったり。そういう意味でメンタル的な揺さぶりには動じなくなりました。図太くなりましたね。
■サウスポーとの対戦は?
諏訪※1渡部あきのり選手とのタイトル戦以来です。サウスポーとは久しぶりの試合ですが、難しく考えないようにしています。自分のボクシングをすることだけに集中していきます。この階級だとサウスポーのスパーリングパートナーも限られてきますが、※2ディスティノ選手がサウスポーになってくれてアドバイスをもらっているので心強いですよ。

※1 2013年3月に渡部あきのり(現角海老宝石)が保持していたOPBFウェルター級王座に挑戦したが6回TKOを喫した。
※2 ディスティノ・ジャパン(同じジムに所属するドミニカ人の輸入ボクサーで現在、日本スーパーライト級1位)

■同じジムに近い階級のディスティノ選手がいるのはプラスになっていると。
諏訪彼はうちのジムのトレーナーのような存在です。ディスティノ選手の呼びかけで2年前から週に2~3回ほど選手たちで朝に集まって走り込みをするようになりました。彼はアマチュア200戦のキャリアがあるので、走り方ひとつとっても参考になります。みんなで走ると切磋琢磨できるし良いですね。
■ディスティノ選手は日本語を話すことができないようですが、どのようにコミュニケーションを取っているのですか?
諏訪スペイン語を勉強してボクシング用語だけですが覚えました。昼間の時間帯は一般会員さんを相手にトレーナーの仕事を一緒にしているので話す機会も多いのです。試合で相手のセコンドにこちらの指示が聞き取れないというのもプラスです。ディスティノ選手はトレーニングの引き出しが多くて、細かな部分もすべて教えてくれるのですごく助かっています。
■ボクシングを始めたきっかけを教えて下さい。
諏訪元々、総合格闘技をしていたのですが、組み技が苦手でした。打撃の方が向いているなと思い、たまたま近所だったジムに入門しました。そこで当時、トレーナーをしていたピューマ渡久地会長(渡久地隆人名誉会長)と知り合ったのです。すごく丁寧に教えてくれて、それがうれしくてジムを設立した時について行きました。
※渡久地隆人(ピューマ渡久地ジム名誉会長=元日本フライ級王者)

■リングネームの由来を教えて下さい。
諏訪A級に上がった時にピューマ会長が付けてくれました。「わかりました」と即答しましたが、心の中では「会長は”ピューマ”でカッコいいのに、なんで俺は爬虫類なんだよ」と思っていました(苦笑)。最初は気に入っていなかったのですが、コブラでやっていくうちにインパクトがあって覚えてもらいやすいし、愛着が湧いてきました。まぁ、好きになるのに時間はかかりましたけどね(笑)。今、リングネームで戦っている選手は少ないですし、僕のことを思って付けてくれた名前ですから。コブラは爬虫類のほかに、ピューマ会長が漫画の※「コブラ」が好きで自分がコブラの主人公に似ているからという理由。あとは、「お前は不器用だけど、所々一発のパンチ力があるから相手が油断した時にガブリと噛み付き毒を吐け」という二つの意味があるそうです。

※1978年~1984年にかけて連載された人気SFアクション漫画

■現在は渡久地聡美会長にバトンタッチしています。どのように教えてもらっているのですか?
諏訪自分の良いところを伸ばしてくれるやり方です。すごく信用してもらっているし今の環境にとても感謝しています。
■出身地がカナダのトロントとなっていますが…。
諏訪父がアメリカに住んでいた影響で生まれたのがトロントです。6歳までロサンゼルスにいました。英語は今ではほとんど忘れたのですが、スペイン語も覚えているので英語も勉強しようと思っています。
■対戦相手の新藤選手の印象はいかがですか?
諏訪一度チャンピオンになっている選手ですし、しっかりとワンツーを打つ。上手さなら僕より上です。ただ、自分のボクシングをしたら負けないかなと思っています。自分としては打ち合いに持ち込みたい。判定では勝ち目は薄いので倒すしかないと思っています。
■今年でキャリア14年目、37歳になります。伸びていると感じているところはありますか?
諏訪周りは僕のことをベテランだと思っているのですが、不器用だしそういう意識はなくて(笑)。課題はまだまだたくさんあります。ただ、不器用なりに以前より距離感が良くなって器用に戦えるようになったかな。
■ピューマ渡久地ジムからは、まだチャンピオンは誕生していません。
諏訪そうですね。12月にはディスティノ選手も最強挑戦者決定戦に出場するので2人で挑戦権を手にして来年にはベルトを巻きたいです。日本で試合ができるチャンスをいただいたので生き残りたい。

■では最後に試合に向けて意気込みをお願いします。
諏訪当日はコブラらしく自分のボクシングをして必ず倒して勝ちます。ぜひ試合を見に来てください。
 本人も公言しているように決して器用なタイプではない諏訪だが、なんとか接近戦での乱打戦に持ち込みたいところ。3度目のチャンスを狙う諏訪はガブリと噛みつき猛毒を吐くことはできるのか?

<取材・構成/やすおかだいご>
<写真/KIKO・ボビー>